令和元年事務年度の法人税、消費税、源泉所得税の調査事績も公表されていたので昨日の続きで見ていきます。
所得税と同様、後半はコロナの影響があるため、実地調査の件数は9万9千件から7万6千件と2割以上減っています。
その代わり、簡易な接触(税務署へ呼び出す簡易な調査)は4万3千件から4万4千件へと増えています。
実地調査での申告漏れの割合は75%でこれは昨年度とあまり変わりません。
何の修正もなかった”申告是認”は4社に1社ということになります。
1件当たりの申告漏れは1396万円から1023万円へと減っているものの、追徴税額は逆に196万円から215万円へ増えています。
これは脱税など不正計算への調査を強化したためで、1件当たりの不正所得金額は1385万円から1573万円へ増えています。
特に強化されている分野の事例が公開されていたので紹介しておきます。
1.消費税還付
・他人名義の輸出書類を流用し、架空の輸出売上を計上
・免税店に来店していない外国人のパスポートを流用して免税販売したと仮装
・高額な固定資産購入を装って架空の課税仕入を計上
免税店に関しては、今後は電子化されるため、不正は減っていくと考えられます。
2.海外取引
・外国親会社との取引における独立企業間価格の算定誤り
・外国関係会社への経費が実際には子会社支援として寄附扱い
・海外の代表者口座を利用して収益を除外
海外口座に関しては海外の税務当局と定期的に口座情報を共有するようになったため、不正を見つけやすくなっています。
3.無申告法人
・不動産売却の契約書を破棄し、代金も現金で受け取って隠蔽
・飲食店の口コミやSNS、現地の活況、銀行の入金状況を確認した上で実地調査
ネットでの情報は個人ブログを含めてかなり細かくチェックして、無申告や不正申告がないか調べています。
今年の調査事績の公表は、行政の淡々とした発表資料と言うよりは一般の納税者向けに注意を促す内容になっていました。
コロナで調査は減っているとは言え、その分情報収集に力を入れて、1件1件をしっかり調査しているので油断しないようにしましょう。