相続税対策の1つとして生前贈与がありますが、贈与税はやたらと贈与して相続税を回避するのを防ぐため、相続税より税率が高くなっています。
高い贈与税を避ける方法としては、非課税の範囲(110万円)でコツコツ贈与する、配偶者・住宅資金・教育資金などの特例を使うことのほか、なるべく安い時期に贈与するということもあります。
コロナで経済的に大きな打撃を受けたため、贈与税を計算する上での資産価値は下がる傾向にありますが、その時期にはバラつきがあります。
① 土地
土地の評価の基本となる路線価は、売買実例などを元に1/1時点で評価されるため、実際の感覚より遅れて下がる傾向があります。
② 建物
固定資産税評価額は構造などを元に積み上げで評価され、時の経過と共に価値が下がってくのであまり景気変動の影響は受けません。
③ 非上場株式
株価を評価する際には、自社の業績と他社の業績とをミックスして評価しますが、規模が小さければ自社の業績の影響が大きく、規模が大きければ他社(上場企業平均)の影響が大きくなります。
不況期においては、自社の数字はすぐに決算に出ますが、他社の数字である類似業種比準価額が下がるのにはタイムラグがあります。
非上場株式の贈与を考える場合は、類似業種比準価額の推移を見ながら有利な時期を探れば節税につながります。
④ 上場株式
上場株式の評価は、贈与日、贈与月の終値平均、前月の終値平均、前々月の終値平均の4つの中から最も低いものが選べます。
つまり3ヶ月間の株価の推移を見ながら時期を検討できることになります。
日経平均でみると3月中旬に16,552円まで下がりましたが、直近では22,000円を上回っています。
実際の贈与は個別株で行なうため、動きはそれぞれ異なりますが、上場株式の名義変更による贈与を検討するにはいい時期と言えるかも知れません。
なお、土地の路線価は来週7月1日に発表されますが、コロナによる急激な変動を反映させるために地域別に減額修正することも国税庁で検討されています。
詳細な情報が出ましたらまたご紹介します。