昨日の続きで緊急経済対策の一環で税務に関する特例を取り上げます。
2.白色申告者の繰越控除
<概要>
個人事業者で赤字が出た場合、青色申告であれば3年間繰り越して黒字と相殺することができますが、白色申告の場合は繰り越すことができません。
白色申告であっても災害により生じた損失であれば3年繰り越せるので、今回のコロナに関しても”災害”と取り扱い、損失繰り越しができることとされています。
<災害損失の内容>
在庫や固定資産などに直接生じた被害や、その被害の拡大・発生を防止するために緊急に必要な費用を言います。
① 該当する例
・飲食業者の食材の廃棄損
・感染者が出たことにより備品等の廃棄損
・イベント中止等による商品の廃棄損
・消毒費用
・マスク、消毒液、空気清浄機等の購入費用
② 該当しない例(繰り越し不可)
・客足減少による売上げの減少額
・休業期間中の人件費
・イベント等の中止に伴うキャンセル料や会場代
3.テレワークの設備投資減税
<概要>
中小企業者等がテレワークのための設備投資をした場合には、一括で経費にするか、税額控除をすることができます。
<制度の内容>
① 名称
・中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除(中小企業経営強化税制)
② 期間
・平成29年4月1日~令和3年3月31日に、新品の特定経営力向上設備等を取得して事業供用
③ 対象事業者
・資本金1億円以下の青色申告法人で大規模法人に支配されていない(個人は青色申告のみで資本金要件なし)
・従業員1000人以下
・経営力向上計画の認定を受けている。
④ 対象設備
≪種類≫
・A類型:生産性向上設備(従来からあり)
・B類型:収益力強化設備(従来からあり)
・C類型:デジタル化設備(改正で追加されたテレワーク設備)
≪C類型の内容≫
・事業プロセスの遠隔操作、可視化又は自動制御化のいずれかを可能にする設備として、経済産業大臣の確認を受けた投資計画に記載された機械装置、工具器具備品、建物附属設備、ソフトウェア。
・1台あたり機械装置160万円以上、器具備品は30万円以上、建物附属設備60万円以上、ソフトウェア70万円以上。
・手順
イ.認定経営革新等支援機関へ事前確認
ロ.経産局に確認書発行申請
ハ,主務大臣の計画申請
ニ.計画認定後に設備導入
⑤ 特例内容
・即時償却(全額経費)
・7%税額控除(資本金3000万円以下は10%)
テレワークの設備投資税制については対象資産がそれなりに広く、節税効果も大きいのですが、手間はかかるので業者さんや税理士と連携して導入前の段階から準備していきましょう。