税制改正大綱6回目は地方創生に関する項目を見ていきます。
東京一極集中と地方経済が縮小している現状を踏まえて、地域を活性化させるための施策が強化されます。
(1)企業版ふるさと納税
<概要>
企業版のふるさと納税は寄付額の約6割が軽減される制度で、2018年度で34億円と大幅に伸びていますが、個人の5127億円と比べると、0が2つ少ない状況です。
普及していない理由としては、控除限度額が低い、自治体が限られる、返礼品がないといったことがあったため、改正で軽減額が約9割(税額控除60%+所得控除100%×法人税率30%)に引き上げられました。
<適用時期>
・令和2年4月1日から5年
(2)地方拠点強化税制の拡大
<概要>
地方に本社移転する場合や地方に研究所を新設する場合にオフィス減税(建物等の特別償却)や雇用促進税制を通常より多く受けられる制度ですが、利用実績が伸び悩んでいるため、要件を緩和した上で延長されました。
<改正内容>
・給与が前年以上という要件を廃止
・拡充型において、有期雇用とパートを除外し、増加割合の要件は廃止
・移転型における控除限度額を1人当たり10万円増額
<適用時期>
・令和2年4月1日から2年間
(3)日本酒の輸出拡大
<概要>
日本酒は国内需要が減少していることから酒税法上、製造場の新設が原則としてできず、新規参入ができない状況でした。
近年の海外需要の拡大を受けて、輸出向けに限定した上で、最低醸造量6万リットルも適用除外として製造場の新設が可能となります。
<適用時期>
・令和2年4月1日(予定)
日本酒の輸出拡大は地方創生とはちょっと毛色が違いますが、大綱の前半で大きく扱われていたので取り上げてみました。
輸出向けに限られますが、クラフトビールのように規制緩和をきっかけに日本酒業界も活性化されるかも知れません。