前回、事業所得or給与所得の判定ポイントを10個列挙しましたが、これらは10個全てを満たす、満たさないという話ではなく、どっち寄りかという観点でチェックします。
事業所得と主張する場合には、給与所得寄りの項目を1つずつ潰していくことになりますが、より重要性が高いのは、①拘束性、④代替性、⑤費用負担、⑨指揮監督です。
10個のポイントについて、1回目のタニタを例に当てはめていきます。
≪事業所得寄り≫
① 拘束性(時間・場所):自由
② 報酬の労務対策性:追加業務は変動
③ 組織への従属性 :就業規則等は適用外
⑤ 費用負担:活動費は本人負担
⑥ 専属性 :他社の仕事もOK
⑨ 指揮監督:本人の裁量
⑩ 形式面 :本人が保険加入し、確定申告
≪給与所得寄り≫
② 報酬の労務対価性:基本業務は固定
≪内容次第≫
④ 代替性 :本人限定の業務があるかどうか。
⑤ 費用負担:オフィスの使用料を徴収しているか。
⑦ 危険負担:損害補填は本人がどこまでするか。
⑧ 諾否の自由:当初3年の従来業務は拒否できるか。
全体としては、事業所得寄りの契約になっていて、税務上は問題なさそうです。
あえて言えば、当初3年間の扱いと固定報酬の部分が気になるぐらいです。
事例として一番多そうなのは、専属の大工さんですが、今後は働き方が多様化し、様々な業種で社員を個人事業主化する動きが出てくるかも知れません。
個人事業主として外注契約する場合には、税務上のポイントを押さえた上で制度設計するようにしましょう。