建設中の相続税評価 ②

posted by 2019.10.1

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 昨日の続きで、建設中に相続があった場合の土地の評価について見ていきます。

 土地にマンションやテナントビルを建てる場合の相続税評価に関しては、貸家建付地による評価減があります。
これは借り主が借りている建物の範囲内で土地に対して事実上の支配権があり、土地の経済的価値がその分低くなっていることを考慮するものです。
一般的な借地権割合60%と借家権割合30%の場合、底地の評価は18%(60%×30%)軽減されます。

 

 では貸家が建築中である土地の評価はどうなるかというと、財産評価基本通達には特に規定はありません。
そこで土地がどの程度制約を受けているかという実質に着目して評価していくことになります。

 

 イメージしやすいように過去の裁決例を元にした具体例で見ていきます。

① 旧建物を取り壊す前から入居していて、立退料の支払いもなく建築後も入居予定。

② 旧建物を取り壊す前に入居していて、取り壊し前に解約。

③ 建築中だが、新建物に関して権利金を受け取り、賃貸借契約が成立。

④ 建築中で、賃貸予定だがまだ入居者は決まっていない状態。

 

 ①と③は貸家建付地の評価減がありますが、②と④は相続時点では特に拘束がないため、評価減はありません。

 建物が完成していないと何も権利が発生しないと考えがちですが、状況によっては土地の評価減が可能なので、拘束の度合いを確認した上で評価する必要があります。

 地主さんの立場で考えると、建物完成前の段階で早めに賃貸借契約を締結しておくことが、相続税評価の上でも運用を確定させる上でも望ましいと言えます。