似て非なる「遺贈」と「死因贈与」。
「遺贈」という言葉は遺言との関連性で何となくイメージがわきますが、「死因贈与」はあまり馴染みのない言葉だと思います。
相続税法の試験では「相続又は遺贈(死因贈与を含む)」と遺贈と同じ扱いとして覚えましたが、民法上は別モノです。
違いを比較しながら見ていきます。
<定義>
・遺贈:遺言により財産を無償で譲ること
・死因贈与:贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与
<法的行為>
・遺贈:単独行為(遺言)
・死因贈与:契約(贈与)
<要件>
・遺贈:有効な遺言(一方的)
・死因贈与:双方の合意
<撤回>
・遺言:いつでも何度でも可能で最新のものが有効
・死因贈与:契約なので贈与者が一方的に撤回できない
<メリット>
・遺言:贈与者は内容を秘密にできる。受贈者は放棄ができる。
・死因贈与:遺言より簡単。確実に財産を渡せる。
<取得の税金>
・遺贈:相続税
・死因贈与:相続税
<不動産の税金>
・遺贈:相続扱いで、不動産取得税0%、登録免許税0.4%と低い
・死因贈与:贈与扱いで、不動産取得税3or4%、登録免許税2.0%と高い
まとめると相続税に関しては同じですが、不動産の税金は死因贈与の方が何倍も高くなります。
法的には、死因贈与は確実に渡せる(もらえる)反面、取り消しにくい(放棄できない)のが特徴です。
それぞれの特徴と税負担を考慮した上で、渡し方を決めるようにしましょう。