以前ご紹介した全額経費になる節税保険への規制ですが、意見募集(パブリックコメント)を経て、6/28に改正通達が公表されました。
<趣旨>
・長期の定期保険や逓増定期保険は、前半の保険料に前払部分が相当含まれており解約すると返戻金も多い。しかも返戻率の高い商品が増えている。
このような保険に全額損金算入を認めると適正な期間計算を損なうため、前払部分を資産計上する。
・がん保険や医療保険など第3分野の保険の取り扱いが明確でなかった。
保険の実態に合わせて、長期の定期保険等と取扱いを統一する。
<対象となる保険>
・法人が契約者、役員又は使用人が被保険者
・定期保険又はがん保険、医療保険
・2019年7月8日以後の契約(解約返戻金がゼロ又はごく少額で「保険料払込期間<保険期間」の保険は10/8以後の契約)
<具体的基準>
① 最高解約返戻率50%以下
・原則全額損金算入(従来と変わらず)
・保険期間が終身の医療保険については116歳までの期間を保険期間とし、払込期間中は前払分を資産計上(パブコメ後に追加)
・解約返戻金がゼロ又はごく少額で「保険料払込期間<保険期間」の場合、保険料が年30万円以下なら損金算入(パブコメ後に20万円から増額)
② 最高解約返戻率50%超70%以下
・前半40%の期間:保険料の60%が損金、40%が資産。
・資産計上額は後半25%の期間で均等に取り崩して損金処理。
③ 最高解約返戻率70%超85%以下
・前半40%の期間:保険料の40%が損金、60%が資産
・資産計上額は後半25%の期間で均等に取り崩して損金処理。
④ 最高解約返戻率85%超
・開始~返戻ピークまでの期間※1:保険料の30%が損金、70%が資産※2
・資産計上額は返戻ピークから残りの期間で均等に取り崩して損金処理。
※1
返戻ピークが5年未満なら5年、保険期間が10年未満なら半分の期間。
※2
保険開始から10年以内は90%を資産計上。
区分が複雑になったのでややこしいですが、要約すると
・解約返戻率85%超は当初10年間はほとんど経費にならず節税効果が消滅。
・終身の医療保険も116歳までの長期間で按分するので全額前払い後の名義変更をしても法人税の節税効果ほぼなし。
・既存の契約には影響ないので引き続き損金処理が可能。
ということになります。
今回の改正は厳しめの内容でガラッと変わるので駆け込みの契約もありそうです。
定期保険を7/8までに契約するのは時間的に難しいですが、10/8まで可能な医療保険に関しては間に合いそうです。