相続税を計算する上で『小規模宅地等の特例』が使えるかどうかは大きなポイントです。
小規模宅地等の特例とは、亡くなった方が住んでいた土地や商売に使っていた土地については引き継いだ相続人が維持しやすいよう土地の評価を50%または80%減する制度です。
面積の上限はあるものの財産の多くを占める土地の評価が2割で済むこともあり、軽減効果はかなり大きいです。
この小規模宅地等の特例は時代の要請に合わせて拡大されたり、節税策に対抗するために縮小されたりと度々改正があるのですが、去年にあった貸付用の土地に関する増税は影響が大きいです。
<制度の概要(改正前)>
・相続開始直前に被相続人の貸付事業に使われていた宅地が対象。
・相続人が申告期限まで保有し、貸付事業を継続。
・上限は200㎡で評価減は50%減。
・貸付事業とは不動産貸付業(建物や構築物あり)、駐車場、貸駐輪場など。
・駐車場のうち青空は対象外。アスファルト、機械など何かしら設備が必要。
<改正点>(平成30年4月1日以後の相続)
・相続開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地は対象外。
この改正は亡くなる直前に駆け込みで不動産貸付業を始めても評価減できないという内容です。
50%減するために、「亡くなる1週間前に知り合いに貸した」とかなら分からなくもないですが、さほど節税を意識せず資産運用のために貸付事業を始めたが3年以内に急に亡くなった、という場合も適用が受けられないので酷な改正ではあります。
『3年』というのは一種の形式的な割り切りで、3年以内贈与の加算と同じ期間とされています。
ただし無理な節税とは認められないケースも当然あるので、その救済措置については次回に続きます。